退職代行サービスを提供する事業者は大きく分けて「民間法人(企業))」「弁護士」「労働組合」の3つに分類をすることが出来、それぞれ出来ること、出来ない事、得意な事、不得意な事など、様々なメリットやデメリットが存在します。
そこをしっかりと把握した上で、自分がベストと思える退職代行サービスを選んでいきましょう。では、具体的な3つの分類は下記の通りです。
なお退職代行とは退職希望者に代わり退職代行業者が退職の意向を会社に伝えるサービスです。退職代行サービスの全容は下記ページでもご確認いただけます。
退職代行のサービス体系の種類
退職代行のサービス提供者には大きく分けて下記の通り3つの区分が存在しており、それぞれ退職代行の手続きの中で出来る事、出来ない事、強み、弱みなどの特徴があります。
退職を代行してくれるという意味では全て同じではありますが、「民間法人(企業))」「弁護士」「労働組合」が提供するサービスにおいて費用感や退職プロセス、そして退職代行に伴う権限において、「退職代行サービス」と一言でいってもそれぞれ大きな違いがあり似て非なるものとなります。
その為、これから退職代行サービスの申し込みを検討される方は、この「民間法人(企業)」「弁護士」「労働組合」の違いをしっかりと把握した上で、自分にあった退職代行サービスを選ぶと良いでしょう。
退職代行サービスにおける「民間法人(企業)」「弁護士」「労働組合」の違い
まずそれぞれが提供する退職代行サービスの過程において、どの様な違いがあるのかを一覧の比較表にして紹介したいと思います。
民間法人(企業) | 弁護士事務所 | 労働組合 | |
---|---|---|---|
会社への退職連絡 | 可能 | 可能 | 可能 |
退職届の作成(代筆) | 不可 | 可能 | 不可 |
退職手続サポート | 可能 | 可能 | 可能 |
退職条件希望告知 | 可能 | 可能 | 可能 |
退職条件の交渉 | 不可 | 可能 | 可能 |
損害賠償対応 | 不可 | 可能 | 不可 |
費用の相場 | 可能 | 不可 | 可能 |
では、上記の比較表に基づいて細かく「民間法人(企業)」「弁護士」「労働組合」がそれぞれ、どのような違いがあるかを詳しく解説していきたいと思います。
会社への退職連絡の違い
「民間法人(企業)」「弁護士」「労働組合」ともに、退職者の代理として会社に「退職」の意向を伝えることが出来ますので、この点においては違いはありません。
退職届の作成の違い
退職届などの公的書類の代理は弁護士資格を有した「弁護士」のみが許されています。その為、「民間法人(企業)」「労働組合」による退職代行サービスを利用した場合には、自分で退職届けを作成し会社に郵送する必要があります。
ただ、「民間法人(企業)」「労働組合」による退職代行サービスの場合の多くは退職届けのテンプレートを用意しているケースが多く、手順に沿って記入すれば書類が完成しますので、手間が掛かるものではありません。
退職手続サポートの違い
退職者にどんな手続きが必要で、年金や雇用保険など退職に伴う手続きのサポートは「民間法人(企業)」「弁護士」「労働組合」ともに受けることが可能です。ただ、退職届けと同様に、本人に代わって作業をするのは「弁護士」のみが許されていますので、「民間法人(企業)」「労働組合」による退職代行サービスの場合の多くは、あくまでサポートやアドバイスに留まり、会社に書類を郵送したり、または会社から送られてくる退職手続きの書類対応は自分で行う必要があります。
退職条件希望告知の違い
退職者に代わり「民間法人(企業)」「弁護士」「労働組合」ともに「退職日」「有給休暇の消化」「退職金」などの退職条件を会社に希望として伝えることが可能です。もちろん、会社への強制力はないので場合によっては会社側に希望を「拒否」される場合もあります。
会社間の交渉の違い
上記の会社への退職条件希望告知を伝えた際に、仮にそのまま受け入れられず、「拒否」もしくは「調整」が必要になった場合は会社間と交渉が必要になります。
その場合には、「退職代行は違法?弁護士法の非弁行為に抵触するケースとは」でも紹介していますが、「民間法人(企業)」の退職代行サービスを利用している場合には弁護士法の非弁行為に抵触する為、交渉を行うことが出来ません。
弁護士資格を保有する「弁護士」であれば弁護士法に基づいて合法的に会社と交渉をすることが出来ますし、「労働組合」の退職代行サービスの場合にも日本国憲法第28条及び労働組合法によって保障されているので、会社との交渉において非弁行為になることはありません。
損害賠償対応の違い
非常にレアなケースではありますが過去には、
・出社命令を過去何度も無視して出社していない。
・既に取引先との訴訟案件などの当事者になっている。
・業務の上で損失が出るような大きなプロジェクトを抱えている。
・クライアントの納期間近のタスクを抱えている。
この様なケースにおいて退職に伴い会社に損害が発生して損害賠償を請求された場合には、法廷で争う必要が出てくる為、「弁護士」でしか対応をすることが出来ません。
仮に「民間法人(企業)」「労働組合」による退職代行サービスを利用していた際に、損害賠償請求をされた場合には、「民間法人(企業)」「労働組合」で裁判の対応は出来ない為、改めて弁護士にその対応を新たに依頼する必要があります。
依頼費用の相場の違い
一般的には「民間法人(企業)」「労働組合」において正社員やアルバイトの退職代行で2万~5万円が相場です。「弁護士」に依頼する場合には手付金として2万~5万円を支払い、あとは成功報酬で合意した条件に合わせて手数料を支払う形態(例:退職金が支払われたらその10%等)も多く、一般的には「民間法人(企業)」「労働組合」の退職代行サービスと比べて費用が割高になる傾向があります。
まとめ
基本的に今までの勤務状況や仕事内容で会社と大きなトラブルが無い場合には、費用感を考えると「民間法人(企業)」「労働組合」による退職代行サービスで問題なく退職できるケースがほとんどです。
また、アルバイトや契約社員など業務上の責任があまり問われず、会社とのトラブルに発展する可能性が低い雇用形態であれば、無理に退職代行費用が高くなる可能性がある弁護士事務所に依頼をすることはないでしょう。
そして、「労働組合」の退職代行サービスであれば、仮に会社と交渉が必要になった場合にも、合法的に対応をしてくれるので更に安心です。
なお、納期が近い仕事や売上の大きい仕事を抱えていたり、過去に会社間とトラブルがあった等、退職代行サービス利用に伴い新たな問題が発生する可能性が高い場合には、穏便に退職を進める為にも、多少費用が掛かっても弁護士資格を持つ弁護士事務所に退職代行を依頼する方が精神的に負担が少ないと考えられます。